「時間の矢」は物理学でいうところの、「過去」⇒「現在」⇒「未来」の時間の方向性のことです。
空間は前後左右上下とどの方向についても対称的に移動できるのに、時間は過去から未来にむけての一方向にしか(非対称的にしか)進行することがありませせん。
これを、一度放ってしまえば戻ってくることはない矢で喩えたものが、「時間の矢」の概念です。
これは、この物理的現実の、今のところ絶対的な真実である“エントロピーの法則”からきています。
たとえば、クラスを落として割ると、粉々に砕け散ります。
それを撮影していたカメラの映像フイルムを逆回転させれば、粉々に砕け散ったグラスは、元の割れる前のクラスに戻ります。
しかし、物理的現実をそのようにすることはできません。
これが“エントロピーの法則”または、「乱雑さ」とも呼ばれています。
「乱雑さ」は時間とともに増大していくというものです。
そこから、あらゆる物体は時間とともに「乱雑さ」が増し、崩壊していくという自然現象が成り立っています。